とり茶太郎|渋谷
「概念が変わった」
よく使われる表現ですが、並の経験で口を突いて出てくるものではありません。
ただ、ここ、とり茶太郎さんは焼き鳥の概念を鮮やかに塗り替えてくれるお店であること請け合いです。
比内鶏、ほろほろ鳥、そして名古屋コーチンといった厳選された鶏種を使い分け、それぞれの個性を最大限に引き出す職人技が光る一品一品がいただけます。
その職人技の核心は緻密な焼きの技術。
鶏の部位ごとに異なる脂の乗りや肉質の弾力を見極め、炭火の熱を繰る店主の姿はまさに匠そのもの。
ある時は皮目の香ばしさを際立たせ、またある時は内側に驚くほどの水分を閉じ込め、噛み締めるたびに溢れ出す濃密な旨味を実現しています。
焼き鳥の合間に提供される創意工夫に満ちた一品料理の数々もまた格別。季節の素材を活かしつつ、鶏の魅力を多角的に表現する構成は、最後まで飽きさせることのない完璧なリズムを刻んでいます。
鶏団子と椎茸の椀ものはとろみのある外皮に椎茸の旨みを纏い、柚子の香りが鼻腔をくすぐります。
ホロホロ鳥の胸は皮の繊細な香ばしさが肉厚な身の脂とともに口内に揺蕩います。
カウンター越しに見える店主の方の手元では、串によっては鋏が入れられており、その味を最大限に引き出す惜しみない一手間がうかがえます。
ホロホロ鳥の砂肝は食感に無駄な弾力はなく、噛むごとに1本1本の繊維を噛み切る食感が口内に広がる一串。
終盤に出てくる手羽飯は香ばしい焼き目に山椒の辛味がアクセントになり、これもまた鳥の味わい方に新しい選択肢を一つ加えてくれます。
「今日は本当に美味しい鶏が食べたい」そんな期待に、一切の妥協なく応えてくれる一軒です。